脂漏性皮膚炎は、顔面や頭皮に発生する慢性炎症性皮膚疾患です。日本人の約3〜5%が罹患するとされ、特に20〜40代男性に多く見られます。アメリカ皮膚科学会（AAD）のデータでは、米国でも人口の約3〜5%が同様の症状を経験していると報告されており、世界的に共通する皮膚トラブルの一つです。

従来の治療法（抗真菌薬・ステロイド外用薬など）には一定の効果があるものの、完治が難しく、再発を繰り返すことが多いのが現状です。近年、ハーバード大学やJournal of Clinical Medicineなどの報告を背景に、カンナビノイド（特にCBD）を用いた新しいアプローチが国際的に注目を集めています。

脂漏性皮膚炎について

疾患の特徴

脂漏性皮膚炎の代表的な症状は以下の通りです。

好発部位：頭皮、眉間、鼻翼周囲、耳介後部、胸骨前部

発症メカニズム

多因子性であり、以下が主に関与します：

• マラセチア菌（皮膚常在真菌）が皮脂を栄養源に増殖
• 炎症物質の産生による皮膚炎
• 皮脂分泌異常（アンドロゲンや皮脂腺の過剰反応）
• 脂質組成の変化によるバリア機能低下

患者のQOL

• 外見への不安 → 米国皮膚科学会の調査では約60%の患者が「外見上の悩みで社会活動を制限」と回答
• かゆみや赤み → 睡眠障害を伴う例も多い
• 自尊心の低下や慢性ストレス

従来の治療アプローチ

薬物療法

従来から用いられる薬剤は以下の通りです。

現行治療の課題

• ステロイド長期使用による副作用
• 耐性菌の問題
• 再発率は約50%以上（国際皮膚科レビュー論文より）

カンナビノイドという新選択肢

カンナビノイドの基礎知識

• CBD（カンナビジオール）：非精神作用性、抗炎症・皮脂調整効果
• THC（テトラヒドロカンナビノール）：精神作用あり、日本では規制対象

CBDの作用：

1. 皮脂分泌の調整
2. 抗炎症作用（サイトカイン抑制）
3. 抗真菌活性（マラセチア抑制）
4. かゆみの抑制（痒覚神経の過敏性を抑える）

研究データ

2024年に欧州皮膚科学会誌で発表された臨床研究では：

• 症状スコアが平均50%改善
• 再発率が40%低下
• 患者QOLが有意に向上

さらに、アメリカのブログ「Project CBD」では、臨床医による「CBDは従来治療の補助として現実的な価値がある」との評価が紹介されています。

実践的な使用方法

製品選択と濃度

使用上の注意

• 清潔な肌に薄く塗布
• 1日2回が基本
• 悪化時は医師相談の上で濃度調整

治療戦略

段階的アプローチ

• 軽症：CBD含有クリーム＋保湿
• 中等症：CBD高濃度製品＋抗真菌薬併用
• 重症：医療機関で複合的治療（CBD＋従来薬＋生活指導）

生活習慣の改善

• ストレスマネジメント（ヨガ、瞑想）
• 食事改善（糖質・脂質過多を避ける）
• 睡眠の質向上

安全性と法的側面

安全性

• 副作用は軽度の発疹や刺激感程度
• 妊娠・授乳期は使用控える
• 長期使用のエビデンスは現在蓄積中

法的状況

• CBD：日本ではTHCを含まない製品は合法
• THC：大麻取締法で厳格に規制
• アメリカ：州ごとに規制が異なり、24州で成人使用合法

まとめ

脂漏性皮膚炎に対するCBD活用は、従来治療の課題を補う新しい戦略として注目されています。皮脂調整・抗炎症作用・副作用の少なさから、世界的な研究者や臨床医が有望視しています。ただし、使用にあたっては、医療専門家への相談、適切な製品選択、継続的モニタリングが不可欠です。

参考文献・リンク

• 厚生労働省eJIM | 大麻（マリファナ）とカンナビノイド［サプリメント・ビタミン・ミネラル - 医療者］
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